令和6年公益法人制度にいう公益充実資金とは
特定費用準備資金・資産取得資金(収益事業等の利益の50%超を公益目的事業に繰入れる場合)は、収支相償対策として有効な手段でした。
令和6年公益法人制度改正では両者を統合し、「その積立額を収支均衡の判定上の費用とみなす」と整理したことで使い勝手が向上したことがポイントです。
従来(特定費用準備資金・資産取得資金)
財務規律に関係する積立資金として、特定の事業実施のための「特定費用準備資金」と特定の資産取得のための「資産取得資金」が存在しました。
その特徴として
- 各目的ごと(事業ごと、資産ごと)に資金は管理され、各事業(公1・公2)を跨いだ資金流用はできない。
- 収支相償の判定において、特定費用準備資金の積み立ては費用と見なされる。
改正(公益充実資金)
公益目的事業について、特定費用準備資金と資産取得資金を統合して公益充実資金が創設されました。
すなわち公益充実資金は、公益目的事業を充実させるために将来において必要となる資金と定義されます。
変更された特徴点は
- 複数目的のための一つの資金として管理する。公1から公2への目的変更、事業の実施から資産取得への変更を行うことができる。
- 中期的収支均衡の判定において、公益充実資金の積立額は費用と見なされる。
公益充実資金の効果
公益充実資金は中期的収支均衡だけでなく、公益目的事業比率及び使途不特定財産規制においても費用の算定上加味されます。また、使途不特定財産規制における控除対象財産となる効果もあります。
各規律の趣旨に鑑み、収入額(費用額の控除)・費用額の算定における調整は異なります。
*1
取崩額のうち、費用計上されない資産の取得に充てられた額は収入にカウントされません。
ただし、キャッシュベースで算定を行う特例計算(収益事業利益の50%超繰入)においては、取崩額全額を収入にカウントします。
*2
恣意的な積立によって費用額が拡大することを防ぐため、費用額に算入できる上限は計画的に資金を積立てる場合の1年間の積立額と定めます。
具体的には、今後積立なければならない見込額を積立計画期間で除した額が上限額となります。
*3
積立額は、公益目的事業比率の算定には含めません。
公益充実資金の要件
公益充実資金の目的
公益充実資金は、公益充実活動等に係る費用の支出・資産取得の支出に充てるために必要な資金として積み立てる必要があります。
「必要な資金」というためには、当該公益充実活動等が実施されることの見込(蓋然性)が求められます。
公益充実資金の情報開示
法人として資金の使途等について説明責任を全うするために、当該事業年度の終了後、次に掲げる事項を記載した書類を作成し、備え置くとともに、行政庁に提出する必要があります。
当該事業年度の末日における公益充実活動等ごとの内容及び実施時期
公益充実資金の目的とする公益充実活動等は複数設定することも可能であることから、 それぞれの公益充実活動等ごとに内容及び実施時期を明らかにします。実施時期が例えば10年先などの将来を予定している場合には、不確実性が大きくなるため、その事情等を明らかにする必要があります。
当該事業年度の末日における積立限度額及びその算定根拠並びに公益充実資金の額
必要以上の資金が積み立てられることがないよう、公益充実活動等ごとに必要となる金額(所要額)を算定、各公益充実活動等の所要額の合計額を積立限度額とし、それらの額をその算定根拠とともに明らかにします。
所要額の見積もりは、過去の実績や類似の事例等を踏まえ、その時点における合理的なものとなっていれば足ります。実施時期が近づくことに伴う見積もりの精緻化に伴い、必要な所要額の見直しを行わなければなりません。
当該事業年度の公益充実資金の取崩額及び積立額
財務規律においては、公益充実資金の積立ては費用とみなし、取崩しについては収入(又は費用の控除)として加味されることから、当該事業年度における公益充実資金の取崩額及び積立額を明らかにします。
積み立ての段階では、積立額と各公益充実活動等は紐付けられず、各公益充実活動等にいくら積み立てたのかは定まらないため、公益充実資金全体としての積立額を、取崩しの段階では、実際に公益充実活動等が実施されていることから、各公益充実活動等に充てた公益充実資金の取崩額を明らかにする必要があります。
前事業年度の末日における公益充実資金に関する情報
中期的収支均衡の算定において、公益充実資金の積み立て・取崩しを反映するため 、当該事業年度の公益充実資金の情報に加え、前事業年度の末日における公益充実活動等ごとの内容及び実施時期、積立限度額及びその算定根拠並びに公益充実資金の額を明らかにします。
公益充実資金に関する別表は、次のように変更されます。
また、法人自らも、インターネットの利用その他の適切な方法により当該情報を速やかに公表しなければなりません。