令和6年公益法人会計基準にいう中期的収支均衡とは
公益社団法人及び公益財団法人が適正な運営を維持するためにクリアしなければならない3つの財務的な基準のこと公益法人の「財務三基準」と言います。
そのうちの一つ「収支相償」の考え方が変わりました。
当年度に発生した剰余額(利益)を過去の事業年度で発生した赤字の補てんに使うことが可能になったことがポイントです。
従来(収支均衡)
公益目的事業に係る当該事業年度の経常収支を基本とした収入と費用を比較し、収入の額が費用の額以下であれば収支相償を満たすという言い方をします。
各公益目的事業別(公1・公2単位)に収支相償(第一段階)の判定を行った上で、収益事業等からの繰入れ等を加味し公益目的事業全体で収支相償(第二段階)を判定します。
収支差額が黒字の場合、つまり収支相償を満たさない場合、翌年度又は翌々年度に事業の拡大により当該黒字を解消すれば、当該事業年度の収支相償は満たされたことになります。
公益目的保有財産の取得等についても黒字の解消策として認められています。
改正(中期的収支均衡)
収支相償を中期的収支均衡に見直しました。
公益目的事業に係る当該事業年度の経常収支を基本とした収入と費用を比較し、黒字(剰余額)がある場合には、過去4年間の赤字(欠損額)と通算できることとしました。収支の比較は、公益目的事業全体で行います。
過去の欠損額との通算を行ってなお剰余額が残る場合には、公益目的保有財産の取得等により解消するほか、翌事業年度以降に事業を拡大して解消することになります。剰余額の発生から5年間を経過した剰余額が残っている場合、中期的収支均衡を欠くものと判定されます。
中期的収支均衡の判定フロー(通常)
当該年度の収入と費用を比較
収入から費用を差し引きます。
収入=当該事業年度の公益目的事業に係る経常収益の額
+当該事業の公益充実資金の取崩額
(公益目的保有財産の取得又は改良に充てた額を除く)
+当該事業年度の収益に係る収益額の50%
費用=当該事業年度の公益目的事業に係る経常費用の額
(費用を二重計上しないように公益充実資金の取崩や剰余金解消策として取得した公益目的保有財産に係る減価償却費を除く)
+当該事業の公益充実資金の積立額
収入>費用の場合
収入から費用を差し引いた結果、年度剰余額(イ)が発生します。
【過去4年間の残存欠損額(ロ)がある場合】
(イ)が(ロ)よりも大きい場合には、剰余額を解消するための措置を講じなければなりません。
(ロ)が(イ)よりも大きい場合には、当該事業年度末における残存欠損額を算定します。
【過去の残存剰余金がある場合】
剰余額を解消するための措置を講じなければなりません。
収入<費用の場合
収入から費用を差し引いた結果、年度欠損額(ハ)が発生します。
【過去4年間の残存欠損額がある場合】
年度欠損額を加えて、当該事業年度末における残存欠損額を算定します。
【過去の残存剰余額(ニ)がある場合】
(ハ)が(ニ)よりも大きい場合には、当該事業年度末における残存欠損額を算定します。
(ニ)が(ハ)よりも大きい場合には、剰余金を解消するための措置を講じなければなりません。
剰余額の解消
以下の場合、それぞれの対応に充てた剰余額は解消されたものと見なされます。
- 公益目的保有財産を取得又は改良した場合
- コロナ禍で公益目的事業を実施するための資金に充てるための必要不可欠な借入れをし、その元本を返済した場合
- 行政庁が当該公益法人の行う公益目的事業の内容その他の事項を勘案し、控除すべきものがあると認める場合
中期的収支均衡の判定
発生から5年間解消されずに残っている剰余額がある場合、中期的収支均衡は図られていないと判定されます。
中期的収支均衡の図解
令和12年度が当事業年度と想定します。
令和7年度から中期的収支均衡が適用され、それ以降の黒字・赤字を翌事業年度以降に繰り越します。
令和7年度に発生した1,000千円の赤字は令和8年度の黒字と相殺され、翌事業年度以降への繰り越し額は△500千円となっています。
その後、令和9年度、令和10年度、令和11年度に500千円ずつ赤字が発生しましたが、令和12年度に4,500千円の黒字が発生しています。
令和12年度末における翌事業年度以降への繰り越し額を計算してみてください。
過去4事業年度分の赤字を通算できます。
すなわち、△500千円+△500千円+△500千円=△1,500千円を通算した結果、
4,500千円+△1,500千円=3,000千円となります。
さらに、令和12年度に公益目的保有財産の取得に1,000千円使ったと想定しているので、
結局は、3,000千円-1,000千円=2,000千円となります。
では、令和17年度末における翌事業年度以降への繰り越し額はどうなりますか?
黒字が発生した後は、将来5事業年度の赤字を通算できます。
すなわち、2,000千円+(△500千円+0千円+△100千円+△500千円+△500千円)=400千円となります。
定期提出書類 別表A(1)の記載
令和12年度における別表A(1)は、次のように記載します。
黄色の欄は別の箇所での入力によって自動転記されます。
水色の欄を入力してください。