公益法人制度改革!より柔軟・迅速な公益的活動のために~行政手続き面から
2023年6月に『有識者会議最終報告』が公表されました。
その一部をご紹介します。
今後、『有識者会議最終報告』に基づいて2024年に改正法案が国会に提出され、2025年度を目途に新公益法人制度が施行される予定です。
柔軟・迅速な事業展開のための行政手続の簡素化・合理化
公益法人が、多様で変化の激しい社会のニーズに柔軟かつ、きめ細やかに対応して公益目的事業を展開していくためには、必要に応じ柔軟・迅速に事業の改編や組織の再編を行っていくことが求められます。
公益法人制度の適正な運用を確保しつつ、これらの柔軟・迅速な事業展開のニーズに対応していくため、公益認定・変更認定や合併等に関する行政手続を簡素化・合理化した上で明確化することが予定されています。
公益認定・変更認定手続の柔軟化・迅速化
公益認定・変更認定手続については、公益法人が事業内容等を変更する場合、改めて行政庁の「認定」が必要とされます。
また、認定を受けるための審査の過程においてガイドライン等で明記されていない書類を求められることによって、法人に必要以上の負担をかけるとともに、審査期間の長期化を招いています。
『有識者会議最終報告』では、以下のように呼称も含め抜本的に見直します。
イ 変更認定事項の届出化
〇変更認定に係る行政手続については、「事業の公益性(不特定かつ多数の者の利益の増進への寄与)に実質的に大きな影響を与えない変更」であって、かつ、「当該変更後に不適切な事態が発生した場合には事後の監督手段で是正しうると想定されるもの」は、届出事項とする方向で検討する。【法律・内閣府令】
(届出化の方向で検討する事項の例)
・公益目的事業の再編・統合(事業内容の実質的な変更を伴わないもの)、縮小・廃止など、新たな公益性の判断を要しない変更
・収益事業等の内容の変更
〇認定事項と届出事項の具体的な基準を明確化する。明確化に当たっては、事業目的の公益性、受益の機会、事業の質、公正性等への影響の観点から、判断の基礎となる考え方を明らかにするとともに、具体的な事例を踏まえた類型を整理し、法人が外形的に判断できるような基準とする方向で検討する。【ガイドライン】
ロ運用面での審査の迅速化
〇認定等審査の迅速化、透明性・予見可能性向上のため、認定等審査に当たり申請者に対して求める書類を簡素化・合理化し、明確化する。【内閣府令・ガイドライン】
〇 認定等に関する行政の判断のぶれやばらつきを極力なくす観点から、上記イで明確化された基準等について、国・都道府県の関係職員への研修を強化する。
〇行政庁において認定等に係る審査に要した期間の状況を公表し、短縮を図る。
合併手続等の柔軟化・迅速化
公益法人の合併に係る行政手続は、現状、おおむね標準処理期間内で処理されているものの、合併の形式(吸収合併・新設合併)・主体(存続法人・消滅法人・新設法人)・法人形態(公益法人、移行法人、一般社団・財団法人)によって手続が異なり、必要な段取り・手続が分かりにくいとの声があります。
『有識者会議最終報告』では、以下のように見直します。
イ合併手続の見直しと透明性の向上
〇吸収合併に係る行政手続については、消滅法人が実施していた事業を変更なく引継ぐ場合等について、変更認定手続の考え方に沿って、届出化を検討する。【内閣府令】
〇新設合併に係る行政手続については、地位の承継認可手続に関する審査のメリハリ付け、必要書類の明確化・合理化等による迅速化を検討する。【ガイドライン】
〇新法制に基づき合併手続のマニュアル化・周知を図る。
ロ法人による自発的な認定取消しの取扱い
法人の経営判断による公益法人、一般社団・財団法人間の転換容易化の観点から、認定取消し後、5年間は再認定を受けることができないとする欠格事由について、自発的な申請に基づく取消しの場合を除外することを検討する。【法律】