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NPO法人が遺贈寄付を受ける2つのケースの会計処理

06/01/201812/26/2018NPO法人会計

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改正後のNPO法人会計基準では、「受取寄付金は、確実に入金されることが明らかになった場合に収益として計上する」とあります。
NPO法人会計基準の改正については、以下を参照してください。

役員報酬の明示!NPO法人会計基準の改正に関する3つのポイント

NPO法人会計基準の一部が2017年12月2日に改正されました。改正の理由を知ることが、改正内容を理解する ...

 https://matsui-jicpa.net/npo-accouting-revision/

それでは、遺言あるいは死亡を原因とする寄付を受けた場合には、どのように考えればよいのでしょうか。
結論は、次表のとおりです。

遺贈寄付 遺言(遺贈)による寄付 入金あり 入金されることが確実であり、その入金額も明確にわかる場合 入金時に収益計上。
NPO法人に入金になっているが、相続人と係争中等の理由で金額が確定しない場合 収益計上せず、財務諸表に注記。
入金なし 遺言執行人から遺贈する旨の通知は受けているが、遺贈財産の詳細は不明である場合
死因贈与契約による寄付 入金なし 贈与財産の詳細が不明である場合
入金あり 相続人と係争中等の理由で金額が確定しない場合
入金されることが確実であり、その入金額も明確にかわる場合 寄付者の死亡時に収益計上。
目次
  • 1. 遺言(遺贈)による寄付
    • 1.1. 入金がない場合
    • 1.2. 入金がある場合
  • 2. 死因贈与契約による寄付

遺言(遺贈)による寄付

「NPO 法人××に○○財産を寄付する。」という遺言を遺してお亡くなりになった方がいた場合、寄付を受けるNPO 法人はいつの時点で収益に計上するのでしょうか。

入金がない場合

遺言は、遺言作成者が死亡した時にその効力が生じます。しかし、遺言による寄付は、寄付を受けるNPO 法人側がその遺言の存在を知らないケースもあり、また、遺言執行者から遺言による寄付があることについて連絡を受ける場合でも、その詳細が不明なケースも多くあります。

そのような場合には、活動計算書には収益として計上せず、財務諸表に例えば次のような注記をします。

注記例「当年度末において遺言執行人から当法人を受遺者として財産を遺贈する旨の通知を受けていますが、遺贈財産の内容に不明なものがあり、これらは財務諸表に計上していません。」

入金がある場合

その後、入金されることが確実となりその入金の金額も明確にわかる時点で、収益に計上します。通常は、銀行口座への入金時に収益に計上することになります。ただし、入金された場合にも、相続人と係争があり、金額が確定しない場合もあります。

そのような場合には、「仮受金」など負債の勘定科目で処理し、収益には計上しません。財務諸表には例えば次のような注記をして、入金が確実になった時点で収益に計上します。

注記例「当年度において遺贈寄付○○円を受けていますが、相続人と係争中であり、金額が確定しないため、仮受金に計上しています。」

死因贈与契約による寄付

寄付者が生前に、NPO 法人と死因贈与契約を結ぶケースがあります。死因贈与契約とは、寄付者(贈与者)が死亡することで効力を生じる贈与のことです。遺言(遺贈)による寄付とは違い、寄付者と寄付を受けるNPO 法人の双方が寄付者の生前に同意をします。したがって、NPO 法人は死因贈与契約の存在を承知していますし、当事者が当該契約を一方的に放棄することはできません。

このような死因贈与契約については、寄付者が死亡した時に財産の請求権が発生しますので、その時点で収益に計上します。ただし、遺言による寄付と同様に、贈与財産の内容が不明であったり、相続人と係争があり金額が確定しない場合には、金額が確定するまで収益には計上しません。

NPO法人会計

Posted by matsui


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