『改訂増補 実務に役立つ 社会福祉法人の会計基準Q&A』(清文社)発刊
かねてよりご案内していた改訂増補版が、2014年12月に発刊されています。
従来から、単に社会福祉法人会計基準の説明で終わらず、『結局、どうしたらいいのか?』という実務の観点から説明しています。会計基準に明記されていないことまで取り上げた、まさに”実務に役立つ”本です。
”今までどこにも書かれていなかった説明”が満載です。増補した項目をご紹介します。
どうぞお手に取って、じっくりご覧ください。
序章 新会計基準の全体像
Q序-4 財務諸表の修正
Q序-6 外部機関の専門家による会計監査の必要性
第1章 総則
Q1-2 利用者預り金の別途管理
Q1-3 施設の種類と法人税法34業種との関係
Q1-9 科目の具体的な使用
Q1-10 ケアハウスの長期預り金
Q1-11 退職共済制度の会計処理
Q1-12 公益事業・収益事業の元入金
Q1-13 運用指針の「勘定科目説明」(別添3)に記載のない勘定科目
Q1-16 注解2(2)による経過勘定の計上省略と基準本文の「すべての」との関係
第2章 拠点区分・サービス区分
Q2-1 本部会計は拠点区分かサービス区分か
Q2-2 有料老人ホームと老人デイサービス事業
Q2-3 ケアハウスと特定施設入居生活介護
Q2-4 保育所と老人デイセービスセンター
Q2-5 同一種類施設の複数経営
Q2-6 児童養護施設と児童家庭支援センター
Q2-7 認定こども園
Q2-8 社会福祉協議会の拠点区分・サービス区分
Q2-9 ケアホーム、グループホーム、小規模多機能型居宅介護事業
Q2-10 拠点区分と辞令
おわかりのように≪第2章 拠点区分・サービス区分≫は、すべてが書下ろしです。
拠点区分(基本となる会計の単位)をどう分けるかは、社会福祉法人にとってたいへん重要な事項です。なぜなら、拠点区分の設定次第で実務的な煩雑さがまるっきり変わってしまうからです。
拠点区分は、法人の意思で自由に決められるものではありません。その考え方は、新会計基準、新会計基準注解及び運用指針(以下、「基準」という。)に書かれており、目を通せば理解できる内容になっています。しかし、書きぶりがあまりにあっさりしているため、実務に落とし込んだときに『結局、どうなるのだろう?』という疑問が必ず生じます。
拠点区分の分け方について、「基準」を形式的に捉えて出した結論と、実質を重視して出した結論が異なる場合があります。私たちも議論を重ねました。その結果、出来上がったものが、この原稿です。
第4章 事業活動計算書
Q4-6 匿名の寄附金、多額の寄附金の計上拠点区分
第5章 貸借対照表
Q5-1 社会福祉法人の外部に対する貸付金
Q5-2 社会福祉法人における資金運用
Q5-3 積立金を積み立てずに積立資産を計上できるケース
Q5-8 役員退職慰労引当金
第6章 財務諸表の注記
Q6-8 重要な後発事象
Q6-9 その他の注記
第9章 新しく導入された会計処理
Q9-3 仕組債の評価損
第10章 移行年度の処理
Q10-2 基本財産土地等の移管
資料
[資料1] 経理規程の様式例
[資料2] 注記事項の記載例
[資料3] 予算書の様式例
≪資料≫も十分にお役立てください。
例えば経理規程の様式例は、一番シンプルな状況を想定して準備しました。
利用に際して3つの注意事項があります。
- 全国社会福祉施設経営者協議会が作成したモデル経理規程(以下、「モデル規程」という。)は、強制されるべきものではありません。
- 経理規程は法人の実態に応じて、法人自らが決めるべきものです。
- この様式例は、各種選択できる会計処理の方法のうち「簡便法」を記載しています。
つまり、法人名を変える形で「モデル規程」をそのまま使ったり、該当のない会計処理方法を記載したりせず、経理規程は各社会福祉法人が各々の実態に即して規定すべきものなのです。
カスタマイズが必要です。
新会計基準が各社会福祉法人へスムーズに導入されることによって、一層効率的な法人運営が行われ、事業に関する情報の充実や事業活動状況の透明化に役立つことを祈念しています。
株式等譲渡所得 (1)
所有していた株式の発行会社が倒産したため、取得価額の全額を譲渡損失として、株式の譲渡益を損益通算して申告していいか?
所有していた譲渡所得の起因となる株式の発行会社の倒産等によりその所有する株式の価値がなくなったとしても、譲渡したことにはならないので、譲渡損失とすることはできません。
ただし、倒産等で事業所得又は雑所得の起因となる株式の価値がなくなった場合、取得価額相当額は、その事業所得又は雑所得の必要経費に算入します(所得税法37①、51④、租税特別措置法37の10、37の11)。
なお、特定口座で管理されている株式の会社が上場廃止後、清算決了等をした場合で一定の要件を満たす場合には、譲渡による損失の金額とみなすとともに、その損失の金額は上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例の適用が受けられます(租税特別措置法37の11の2①)。
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