社会福祉法人制度改革の施行に向けた留意事項
社会福祉法の改正が平成28年3月31日に行われました。それに伴って、厚生労働省 社会・援護局福祉基盤課から「社会福祉法人制度改革の施行に向けた留意事項について(経営組織の見直しについて)」という事務連絡が発出されています。
この考え方に沿って、厚生労働省令が作成される予定です。その内容をまとめます。
社会福祉法人制度における評議員
評議員の選任及び解任
イ. 評議員の選任及び解任方法
評議員の選任及び解任の方法は、定款で定めなければなりません。その具体的な方法は、法人関係者でない中立的な立場にある外部の者が参加する機関(例えば、評議員選任・解任委員会)を設置し、この機関の決定にしたがって行うことが考えられます。
ロ. 最初の評議員の選任
評議員については、平成29年4月1日までに、あらかじめ選任しておかなければなりません(法第39条)。
そのためには、①イ.の趣旨を踏まえた評議員の選任方法を記載した定款変更を行った上で、それに基づき評議員を選任しておく必要があります。
なお、あらかじめ選任した評議員の任期は平成29年4月1日から開始します。平成29年3月31日において評議員である者の任期は、同日において満了します。
評議員の資格等
社会福祉法人の評議員は、社会福祉法人の適正な運営に必要な識見を有する者のうちから選任されます。以下イ.からハ.の要件に適合していなければなりません。
イ. 評議員の欠格事由
法第40条を参照してください。
ロ. 評議員の兼職禁止
評議員は、理事及び監事の選任・解任を通じて、理事の業務執行を監督する立場にあるため、自らが評議員を務める法人の理事、監事又は職員を兼ねることはできません(法第40条第2項)。
ハ. 評議員の特殊関係者
評議員には、各評議員又は各役員の配偶者又は三親等以内の親族が含まれてはならないことに加え、各評議員又は各役員と特殊の関係がある者も含まれてはなりません(法第40条第4項及び第5項)。
「特殊の関係がある者」について、次の内容が厚生労働省令において定められる予定です。
①当該評議員又は役員と事実上婚姻関係と同様の事情にある者
②当該評議員又は役員に雇用されている者
③ ①、②に掲げる者以外の者であって、当該評議員又は役員から受ける金銭その他の財産によって生計を維持しているもの
④ ②、③に掲げる者の配偶者
⑤ ①から③に掲げる者の三親等以内の親族であってこれらの者と生計を一にするもの
⑥ 当該評議員が役員(*1)となっている他の同一の団体(社会福祉法人を除く。)の役員(*1)又は職員(これらの役員(当該評議員を含む。)又は職員が当該社会福祉法人の評議員総数の三分の一を超えて含まれる場合に限る。)
(*1) 業務執行をする社員を含む。
⑦ 当該社会福祉法人の役員が役員(*2)となっている他の同一の団体(社会福祉法人を除く。)の役員(*2)又は職員(これらの役員(当該評議員を含む。)又は職員が当該社会福祉法人の評議員総数の三分の一を超えて含まれる場合に限る。)
(*2) 業務執行をする社員を含む。
⑧ 支配している他の社会福祉法人(*3)の役員又は職員
(*3) 当該社会福祉法人の役員又は評議員で、評議員の総数の過半数を占めている他の社会福祉法人。
⑨ 次に掲げる団体(*4)においてその職員(国会議員及び地方公共団体の議会の議員を除く。)である、評議員又は役員(これらの評議員又は役員が当該社会福祉法人の評議員総数の三分の一を超えて含まれる場合に限る。)
(*4) 国の機関、地方公共団体、独立行政法人、国立大学法人又は大学共同利用機関法人、地方独立行政法人、特殊法人又は認可法人
ニ. 評議員の員数
評議員の数は、理事の員数を超える数とされています(法第40条第3項)。
ただし、一定の事業規模を超えない法人については、平成29年4月1日から3年間、4人以上となります(改正法附則第10条)。
ホ.評議員の確保の支援
地方自治体や社会福祉協議会が、社会福祉法人の適正な運営に必要な識見を有する者に関する情報を収集し、評議員の確保が困難な法人の求めに応じて、人材の情報を提供する等の支援が行われます。
① 地方自治体が行うべき支援
法人からの評議員の確保に関する相談に応じて必要な支援を行う。また、ホ.②に定める社会福祉協議会が行う取組を支援することが求められる。
② 社会福祉協議会に期待される取組
- 担当者(部署)を決定し、社会福祉法人から要請があった場合には、社会福祉法人の適正な運営に必要な識見を有する人材に関する情報を提供する。
- あらかじめ社会福祉法人のニーズ等を把握するため、社会福祉法人に対する説明会や調査等を行う。
- 評議員の候補者となり得る地域住民への説明会の開催等により評議員会制度に係る理解の促進を図る。
評議員の任期
評議員の任期は、原則として、選任後4年以内に終了する会計年度のうちの最終ものに関する定時評議員会の終結の時までです(法第41条第1項)。
また、定款で「4年」を「6年」まで伸長することができます(同項ただし書)。
社会福祉法人制度における評議員会
評議員会の権限
評議員会は、これまでの諮問機関とは異なり、法人運営の基本ルール・体制を決定するとともに、役員の選任・解任を通じ、事後的に法人運営を監督する機関として位置付けられます。
従来の評議員会に対し諮問されていた業務執行に関する事項についての意思決定は理事会で行うこととなり、評議員の決議事項は法に規定する事項及び定款で定めた事項に限定されます(法第45条の8第2項)。
評議員会の運営
イ. 評議員会の招集
① 評議員会の招集権者
評議員会の招集権限は、原則として理事にあります(法第45条の9第3項)。
なお、評議員は、理事に対し、評議員会の目的である事項(以下「議題」といいます。)及び招集の理由を示して、評議員会の招集を請求することができます(法第45条の9第4項)。
② 招集事項の決定
評議員会を招集するには、評議員会の日時及び場所、議題並びに議案を理事会の決議により定めなければなりません。
③ 招集通知
招集事項を記載した招集通知を評議員会の日の一週間前までに、各評議員に対して書面で発出します。
ロ. 評議員会の決議
評議員会は、あらかじめ招集通知で定めた議題以外の事項を決議することはできません(法第45条の9第9項)。
また、議決権の行使については、書面又は電磁的方法による議決権の行使や代理人又は持ち回りによる議決権の行使は認められません。これは、評議員には、理事と同様、法人との委任契約に基づき、善良な管理者の注意をもってその職務を遂行する義務が課せられており(法第38条、民法第644条)、このような評議員によって構成される評議員会が執行機関に対する牽制・監督を行う機関として十分にその機能を果たすためには、相互に十分な検討を行うことによって決議する必要があるからです。
ハ. 評議員の権限
① 議題の提案権
評議員は、理事に対して一定の事項を議題とすることを請求することができます。ただし、この請求は、評議員会の日の四週間前までにしなければなりません。
② 議案の提案権
評議員は、評議員の場において、議題の範囲内で議案を提案することができます。
③ 評議員会招集権
イ.①のとおり、評議員は、理事に対し、議題及び招集の理由を示して、評議員会の招集を請求することができます(法第45条の9第4項)。
また、評議員の招集の請求後、以下のいずれかに該当する場合には、所轄庁の許可を得て、評議員会を招集することができます(法第45条の9第5項)。
- 請求の後遅滞なく招集の手続が行われない場合
- 請求のあった日から6週間以内の日を評議員会の日とする評議員会の召集の通知が発せられない場合
社会福祉法人制度における理事
理事の選任及び解任
改正社会福祉法において、評議員会は必置の議決機関として位置付けられ、理事の選任・解任の決議は評議員会で行うことになります(法第45条の4第1項)。
理事の資格等
イ. 理事の資格要件
理事のうちには、次に掲げる者が含まれなければなりません(法第44条第4項)。
① 社会福祉事業の経営に関する識見を有する者
② 当該社会福祉法人が行う事業の区域における福祉に関する実情に通じている者
③ 当該社会福祉法人が施設を設置している場合にあっては、当該施設の管理者
ロ. 理事の特殊関係者
理事には、理事本人を含め、その配偶者及び三親等以内の親族その他各理事と特殊の関係のある者(「理事の親族等特殊関係者」)が理事の総数の三分の一を超えてはなりません(法第44条第6項)。
ただし、理事の親族等特殊関係者の上限は3人です。
「特殊の関係がある者」について、次の内容が厚生労働省令において定められる予定です。
① 当該理事と事実上婚姻関係と同様の事情にある者
② 当該理事に雇用されている者
③ ①、②に掲げる者以外の者であって、当該理事から受ける金銭その他の財産によって生計を維持しているもの
④ ②、③に掲げる者の配偶者
⑤ ①から③に掲げる者の三親等以内の親族であってこれらの者と生計を一にするもの
⑥ 当該理事が役員(*1)となっている他の同一の団体(社会福祉法人を除く。)の役員又は職員(これらの役員又は職員が当該社会福祉法人の評議員総数の三分の一を超えて含まれる場合に限る。)
(*1) 業務執行をする社員を含む。
⑦ 次に掲げる同一の団体(*2)においてその職員(国会議員及び地方公共団体の議会の議員を除く。)である理事(これらの理事が当該社会福祉法人の理事総数の三分の一を超えて含まれる場合に限る。)
(*2) 国の機関、地方公共団体、独立行政法人、国立大学法人又は大学共同利用機関法人、地方独立行政法人、特殊法人又は認可法人
理事の任期
理事の任期は、理事の選任後2年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時までです(法第45条)。
ただし、定款によって、その任期を短縮することも可能です。
理事の権限等
① 理事長の職務及び権限等
理事長は、理事会の決定に基づき、法人の内部的・対外的な業務執行権限を有します(法第45条の16第2項第1号)。
具体的には、理事会で決定した事項を執行するほか、法第45条の13第4項に掲げる事項以外の理事会から委譲された範囲内で自ら意思決定し、業務執行します。そして、対外的な業務執行をするため、法人の代表権を有します(法第45条。17第1項)。
また、理事長は、3か月に1回以上(定款で、毎会計年度に4か月を超える間隔で2回以上とすることが可能)、自己の職務の執行の状況を理事会に報告しなければなりません(法第46条の16第3項)。
これは、理事会による理事長の職務の執行の監督を実効性あるものにするためです。
理事に対して一定の事項を議題とすることを請求することができます。ただし、この請求は、評議員会の日の四週間前までにしなければなりません。
② 業務執行しない理事の職務及び権限等
業務執行しない理事は、理事会における議決権の行使等を通じ、法人の業務執行の意思決定に参画する(法第45条の13第2項第1号)とともに、理事長の職務の執行を監督する(同項第2号及び第3号)役割を担います。
理事の義務等
理事には、善管注意義務、忠実義務のほか、法人に著しい損害を及ぼすおそれのある事実があることを発見した場合の監事への報告義務が課されています。
社会福祉法人制度における監事
監事の選任及び解任
監事の選任及び解任は、理事と同様、評議員会の決議によります(法第45条の4第1項)。
監事の資格等
イ. 監事の兼職禁止
監事は、当該社会福法人の理事又は職員を兼ねることができない(法第44条第2項)。
ロ. 監事の資格要件
監事には、次に掲げる者が含まれなければなりません(法第44条第5項)。
① 社会福祉事業について識見を有する者
② 財務管理について識見を有する者
ハ. 監事の特殊関係者
監事には、各役員の配偶者又は三親等以内の親族が含まれてはならないことに加え、各役員と特殊の関係のある者も含まれてはなりません。(法第44条第7項)。
「特殊の関係がある者」について、次の内容が厚生労働省令において定められる予定です。
① 当該役員と事実上婚姻関係と同様の事情にある者
② 当該役員に雇用されている者
③ ①、②に掲げる者以外の者であって、当該役員から受ける金銭その他の財産によって生計を維持しているもの
④ ②、③に掲げる者の配偶者
⑤ ①から③に掲げる者の三親等以内の親族であってこれらの者と生計を一にするもの
⑥ 当該理事が役員(*1)となっている他の同一の団体(社会福祉法人を除く。)の役員(*1)又は職員(これらの役員又は職員が当該社会福祉法人の評議員総数の三分の一を超えて含まれる場合に限る。)
(*1) 業務執行をする社員を含む。
⑦ 当該監事が役員(*2)となっている他の同一の団体(社会福祉法人を除く。)の役員(*2)又は職員(これらの役員(当該評議員を含む。)又は職員が当該社会福祉法人の評議員総数の三分の一を超えて含まれる場合に限る。)
(*2) 業務執行をする社員を含む。
⑧ 支配している他の社会福祉法人の役員又は職員
⑨ 次に掲げる団体においてその職員(国会議員及び地方公共団体の議会の議員を除く。)である理事(これらの理事が当該社会福祉法人の理事総数の三分の一を超えて含まれる場合に限る。)
監事の任期
監事の任期は、理事の選任後2年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時までです(法第45条)。
ただし、定款によって、その任期を短縮することも可能です。
また、監事を再任することは差支えなく、期間的な制限もありません。
監事の職務及び権限等
イ. 監事の権限
監事は、法人の業務監督及び会計監査を行うことを職務とし、その職務の遂行のため、いつでも、理事及び当該社会福法人の職員に対し、事業の報告を求め、また、社会福祉法人の業務及び財産の状況を調査することができます(法第45条の18第2項)。
監事は、理事が不正の行為をしたとき、もしくは不正の行為をするおそれがあると認めるとき、又は、法令・定款に違反する事実、著しく不当な事実があると認めるときは、理事に対し理事会の招集を請求できます。その際、当該請求を行った日から5日以内に、その請求があった日から2週間以内の日を理事会の日とする理事会の招集の通知が発せられない場合は、その請求をした監事は、理事会を招集することができます。
ロ. 理事への報告義務
監事は、次のときには、その旨を理事会に報告する義務を負います。
① 理事が不正の行為をしたとき
② 理事が不正の行為をするおそれがあると認めるとき
③ 法令・定款に違反数事実があるとき
④ 著しく不当な事実があるとき
これは、理事の法令定款違反等について、理事会による是正を促す趣旨です。
ハ. 理事会への出席義務
監事は、理事会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければなりません。
これは、監事が出席することにより、理事会の議論を把握し、理事の業務執行の監督につなげるとともに、理事会において法令・定款に違反する決議や著しく不当な決議等が行われるのを防ぐ趣旨です。
ニ. 評議員会に対する報告義務
監事は、理事が評議員会に提出しようとする議案、書類等を調査し、法令・定款に違反する事項や著しく不当な事項があると認めるときは、その結果を評議員会に報告しなければなりません。
社会福祉法人制度における理事会
理事会の権限
改正法により、理事会は、全ての業務執行の決定や理事の職務執行の監督を行うことになります。
イ. 理事の組織
理事会は、全ての理事で組織されます(法第45条の13第1項)。
ロ. 理事会の職務
① 業務執行の決定
理事会は、社会福祉法人の業務執行に関する意思決定を行います(法第45条の13第2項第1号)。
② 理事の職務執行の監督
理事会は、理事の職務の執行を監督します(法第45条の13第2項第2号)。
③ 理事長の選定及び解職
理事会は、理事長の選定及び解職を行います(法第45条の13第2項第3号及び同条第3項)。
ハ. 理事に委任することができない事項
社会福祉法人においては、重要な財産の処分及び譲り受け等、法第45条の13第4項各号に列挙されている事項についての決定を理事に委任することができないこととされています(同条第4項)。これは、一部の理事による専横や複数の理事が法人の運営を巡って対立し、それぞれ独自に決定するといった混乱した事態が生じるのを避けるためです。
理事会の運営
イ. 理事の招集
① 理事会の招集権者
理事会の招集権限は、原則として各理事にあります(法第45条の14第1項本文)。
ただし、定款のさだめ又は理事会の決議によって、特定の理事を招集権者と定めることができます(同項ただし書)。
② 招集通知
理事会を招集する者は、理事会の日の原則として1週間(定款による短縮が可能)、前までに、理事及び監事の全員に通知を発送しなければなりません。
通知の方法については、評議員会の招集の場合と異なり、限定はなく、書面でも口頭でもその他の方法でも差支えありません。また、議題を通知することも必須ではありません。
ロ. 理事会の決議
理事会の決議は、議決に加わることができる理事の過半数(定款による引き上げが可能)が出席し、その過半数(定款による引き上げが可能)をもって行います(法第45条の14第4項)。理事会の決議の公正を期する必要があることから、決議について特別の利害関係を有する理事は議決に加わることができません(同条第5項)。
また、理事会における議決権の行使について、書面又は電磁的方法による議決権の行使や代理人、持ち回りによる議決権の行使は認められません。これは、理事には、行銀と同様、法人との委任契約に基づき、善良な管理者の注意をもってその職務を遂行する義務が課せられており(法第38条、民法第644条)、理事会は、このような理事が参集して相互に十分な討議を行うことによって意思決定を行う場であるからです。
ただし、出席者が一堂に会するのと同等の相互に十分な議論を行うことができる方法であれば、テレビ会議や電話会議の方法による開催は認められます。
ハ. 理事会の議事録等
理事会の議事については、議事録を作成しなければなりません。
議事録が書面で作成されているときは、出席した理事(定款で署名又は記名押印しなければならない者を、出席した理事長と定めた場合には、当該出席した理事長)及び監事が署名又は記名押印しなければなりません(法第45条の14第6項)。議事録が電磁的記録で作成されているときは、法第45条の14第7項を参照してください。
また、理事会の決議に参加した理事であって議事録に異議をとどめない者は、その決議に賛成したものと推定されます(同条第8項)。
内部管理体制の整備
一定の事業規模を超える法人は、法人のガバナンスを確保するために、理事の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他社会福祉法人の業務の適正を確保するために必要な体制の整備(内部管理体制の整備)について、基本方針を理事会において決定し、当該方針に基づいて、規程の策定等を行うことになります(法第45条の13第4項第5号及び第5項)。
参考例が用意されています。
社会福祉法人制度における報酬
評議員の報酬
評議員の報酬等(報酬、賞与その他の職務執行の対価として受ける財産上の利益及び退職手当をいう。以下同じ。)は、定款でさだめなければなりません。
無報酬の場合には、その旨を定めることになります。
理事の報酬
理事の報酬は、定款にその額を定めていないときは、評議員会の決議によって定めることになります。
監事の報酬
監事の報酬は、定款にその額を定めていないときは、評議員会の決議によって定めることになります。定款又は評議員会の決議によって監事の報酬総額のみが決定されているときは、その具体的な配分は、監事の協議(全会一致の決定)によって定めます。
また、監事は、その適正な報酬を確保するため、評議員会において、監事の報酬等について意見を述べることができます。
無報酬の場合には、その旨を定めることになります。
会計監査人の報酬
会計監査人の報酬等を定める場合には、監事の過半数の同意を得なければなりません。
理事、監事及び評議員に対する報酬等支給基準
理事、監事及び評議員に対する報酬等について、厚生労働省令で定めるところにより、民間事業者の役員の報酬等及び従業員の給与、当該社会福祉法人の経理の状況その他の事業を考慮して、不当に高額なものとならないような支給の基準を定めなければなりません(法第45条の35第1項)。
そして、この報酬等の支給の基準は、評議員会の承認を受けるとともに(法第45条の35第2項)、公表しなければなりません(法第59条の2第1項第2号)。
厚生労働省令では、具体的には、以下のイ.からニ.までのとおり、理事等の勤務形態に応じた報酬等の区分及びその額の算定方法並びに支給の方法及び携帯に関する事項を定める予定です。
なお、無報酬とする場合には、その旨を役員等報酬基準に定めることになります。
イ. 役員等の勤務形態に応じた報酬等の区分
常勤・非常勤別に報酬を定めること。
① 報酬等の算定の基礎となる額、役職、在職年数等、どのような過程を経てその額が算定されたか、法人として説明責任を果たすことができる基準を設定すること。
② 評議員会が役職に応じた一人当たりの上限額を定めた上で、各理事の具体的な報酬金額については理事会が、監事や評議員については評議員会が決定するといった規定は、許容される(国等他団体の俸給表等を準用している場合、準用する給与規程(該当部分の抜粋でも可)を支給基準の別紙と位置付け、支給基準と一体のものとして所轄庁に提出すること)。
③ 評議員会の決議によって定められた総額の範囲内において支給するという規定や、単に職員給与規程に定める職員の支給基準に準じて支給するというだけの規定は、どのような算定過程から具体的な報酬額が決定されるのかを第三者が理解することは困難であり、法人として説明責任を果たすことができないため、認められない。
④ 退職慰労金については、退職時の月例報酬に在職年数に応じた支給率を乗じて算出した額を上限に各理事については理事会が、監事や評議員については評議員会が決定するという方法も許容される。
ハ. 支給の方法
支給の方法とは、支給の時期(毎月か出席の都度か、各月又は各年のいつ頃か)や支給の手段(銀行振込か現金支給か)等をいう。
ニ. 支給の形態
支給の形態とは、現金・現物の別等をいいます。ただし、「現金」、「通貨」といった明示的な記載がなくても、報酬額につき金額の記載しかないなど金銭支給であることが客観的に明らかな場合は、「現金」等の記載は特段なくても差支えない。
監事及び評議員の区分ごとの報酬等の総額の公表
理事、監事及び評議員の区分ごとの報酬等の総額については、平成29年度以降の現況報告書に記載して、公表することになります。
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