架空費用の観点から見た中小企業における不正の3つのケース
資産管理の観点の次は、架空費用の観点から不正を見て行きます。
資産を直接に不正流用せずとも、発生していない費用を会社に請求することによって会社の資産(現預金)が減少します。
マンパワーが限られる中小企業において、どのような内部統制を構築すれば不正を防止できるのか考えます。
領収書の改ざん
事例の概要
税務調査の際に、似たような領収書が多数あったり色合いや文字の濃淡等が不自然であることが指摘された。
それらの領収書は営業部長が、接待交際費に係わる飲食代や贈答代の領収書を改ざんあるいは偽造し、横領していたことが判明した。
不正の原因
経理のチェック体制が甘いことが原因です。経理部門の承認がなければ認めない、場所、参加者、目的、金額等を記載した報告書を義務づける、事前承認を原則とする、等のルールを明確に定めておくべきです。
不正防止のポイント経理担当者が営業部長に問い合わせをすることはやりにくいものですが、ルールに則って職務として実施するものであるという環境を整えることが重要です。経理部門でのチェックには、担当者のセンスも求められます。手書きの領収書の金額の一部に異なる字体が見受けられる、同じ書式の領収書が大量にあることに何か違和感があります。
しかし、経理担当者のセンスだけに頼ってはいけません。システムとして、接待交際費申請書、報接待交際費報告書を義務づけることも必要です。役員や部長級に例外を設けてなりません。また、それによって支払い内容や金額の妥当性を判断することにも役立ちます。
単身赴任者の帰宅旅費の不正受給
事例の概要
単身赴任者には月に1度、自宅に帰るための交通費が支給される。しかし、自宅にいるはずの人を赴任地で見かけたという噂が立ち、総務部が調査したところ本人が不正受給を認めた。
不正の原因
飛行機利用の場合、領収書を入手できないことを想定し「予約完了画面」の出力書面で旅費を精算することが社内ルールで認められていました。この制度を悪用して、実際には搭乗していないにもかかわらず、旅費を不正受給していたのです。
不正防止のポイント搭乗の事実を確認することがポイントになります。交通機関を実際に利用した、そのためにいくらかかった、ことを明確にしたいからです。
「利用した」については、航空会社では搭乗証明書、鉄道会社では乗車証明書を発行してくれます。搭乗券や座席指定券が手許に残っていればそれで代替することも可能です。とはいえ、提出する証憑を必要以上に細かく規定することは現実的ではありません。どこまでのものを求めるかは、会社の状況に応じて決めればよいと思います。
「いくらかかった」については、領収書が明確ですが、社内規程で交通機関ごとにどのような証憑を提出するか定めておきます。また、交通機関ごとにあらかじめ精算額を決めておくことも考えられます。
架空従業員への給与支給
事例の概要
営業所の経理・総務担当者が退職者の届出処理をせず、退職者に対して給与を払い続けていた。経理・総務担当者と退職者が共謀した上での行為で、受け取った給与は山分けしていていたことが判明した。
不正の原因
営業所の経理・総務業務が担当者に任せきりになっていた上、営業所長がチェックしていなかったことが原因です。また、本社において社会保険の関係書類との突合せを実施していれば、退職の事実は早期に把握できたはずです。
不正防止のポイント
人手がなくてどうしても職務を分けることができない場合には、営業所長が管理者として係わることです。営業所長は予算や人件費を管理することも職責であるので、退職者が出たにも拘らず人件費が減っていないことを疑問に感じなればなりません。
また、勤務実績の管理については、タイムカード等の内部資料とともに住民税の決定通知書等の外部資料にも目を通し、状況を確認しておくことが重要です。
職務分掌の重要性については「経理担当者による横領」において説明したとおりです。ご参考までに。
贈与税 (1)
祖父から1,000万円の贈与を受け、教育資金の非課税制度の適用を受けている受贈者が40歳に達した。
1,000万円のうち800万円は学校等へ支払い、教育資金口座には200万円の残高があったが、教育資金の贈与であるため非課税としていいか?
教育資金口座に係る契約は、次のいずれかの場合に終了します(①の括弧書き、②及び③については、令和元年7月1日以後に限る。)。
① 受贈者が30歳に達したこと(その受贈者が30歳に達した日において学校等に在学している場合又は教育訓練を受けている場合(これらの場合に該当することについて取扱金融機関の営業所等に届け出た場合に限る。)を除く。)。
② 30歳以上の受贈者がその年中のいずれかの日において学校等に在学した日又は教育訓練を受けた日があることを、取扱金融機関の営業所等に届け出なかったこと。
③ 受贈者が40歳に達したこと。
④ 受贈者が死亡したこと。
⑤ 口座等の残高がゼロとなり、教育資金口座に係る契約を終了させる合意があったこと。
なお、①から⑤のいずれか(④を除く。以下「終了事由」という。)に該当した場合に、贈与を受けた金額から教育資金として支出した金額を控除した残額があるときは、その残額は、終了事由に該当した日の属する年の贈与税の課税価格に算入されます(租税特別措置法70の2の2)。ただ、④に該当した場合には、贈与税の課税価格に算入されるものはありません。
したがって、教育資金口座の残額200万円について、贈与税の課税価格に算入されます。











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