別表H簡便版の様式(予定)、先取り情報!
立入検査時に別表Hの誤りを指摘することが、たびたびあります。
別表Hのフォームが論理的思考と合致していなくて、作成者がわかりにくいことが誤りの最大の原因です。
以前に、完全理解を目的に図解による解説を試みました。
「別表Hはわかりづらい」の声を受けて、「別表H簡便版(案)」の検討が進められています。ここで重要なことは、従来の別表Hに替わる新たな簡便な算出表の作成を目指していることです。
上記のような趣旨で別表Hの簡易版が検討されていましたが、検討が打ち切られたようです。理由等詳しいことは公開されていません。
図解による解説を今一度ご覧になり、理解していただくしかありません。
別表Hの本質
それは、端的にいえば、公益認定を取り消されたときに類似の事業を目的とする他の公益法人等に贈与すべき額(公益目的取得財産残額)を算定することにあります。
いざ公益認定が取消されてから、あわてて過去に遡って公益目的取得財産残額を計算しようとしても困難な作業になります。“もし今、公益認定が取消されたら”という仮定のもとに、前期末における公益目的取得財産残額をベースに一定の調整計算を毎期行うことを継続しているのです。
別表H簡便版(案)の様式(イメージ図)
a 前事業年度の公益目的取得財産残額
前事業年度に別表Hで計算していた場合には、前事業年度の別表Hの24欄を記載します。
前事業年度に別表H簡便版で計算していた場合には、前事業年度の別表H簡便版の「当事業年度の公益目的取得財産残額」を記載します。
b 当事業年度の正味財産増減額
当事業年度の正味財産増減計算書内訳表(公益目的事業会計)より記載します。
c 投資有価証券の時価評価損益
次の①と②の合計額
① 当事業年度の正味財産増減計算書内訳表(公益目的事業会計)の一般正味財産増減の部の「基本財産評価損益等」、「特定資産評価損益等」及び「投資有価証券評価損益等」のうち、評価損益の合計額
② 当事業年度の正味財産増減計算書内訳表(公益目的事業会計)の指定正味財産増減の部の「基本財産評価損益等」及び「特定資産評価損益等」の合計額
d 他の公益法人の公益目的事業のために、公益目的事業会計以外から寄附を行った場合
別表Hで計算する場合の18欄の額です。
e 公益認定される以前から不可欠特定財産を保有している場合であって、その不可欠特定財産の価値を増加させた場合
別表Hで計算する場合の12欄の額です。
f 公益認定される以前から不可欠特定財産を保有している場合には、その不可欠特定財産の帳簿価額
別表Hで計算する場合の23欄の額です。
別表H簡便版(案)の解説
公益目的取得財産残額は、基本的には公益目的保有財産を含む公益目的事業財産の残額であり、正味財産増減計算書内訳表の公益目的事業会計に区分される財産の額に相当します。
別表H簡便版(案)では、この考え方に基づいて公益目的取得財産残額を算出します。
公益目的取得財産残額
=前年度の公益目的取得財産残額
+公益目的事業会計の当年度の正味財産増減額
+調整項目
導入スケジュールと今後の見通し
別表H簡便版の運用は、平成30年4月1日以降開始する事業年度に係る定期提出書類から開始される予定です。
別表H簡便版の提出方法としては、当面は、定期提出書類に簡便版のファイルを添付することになります。その後、必要に応じて改良を加えつつ、然るべきタイミングでシステム改修を行うことが検討されています。