NPO法人会計基準が簡単にわかるための4つのこと
NPO法人会計基準は、以下の内容で構成されています。
☆NPO法人会計基準(本文)(注解)
☆別表1~2
☆様式1~5
☆議論の経緯と結論の背景
また、併せて“実務担当者のためのガイドライン”が作成されており、以下のように構成されています。
☆パターン化された記載例(Ⅰ~Ⅳ)
☆NPO法人会計基準のQ&A
NPO法人会計基準の冒頭に、「NPO法人会計基準の目的」が記載されています。
そこでの重要点は、会計報告作成者の視点より、会計報告利用者の視点を重視していることです。つまり、決算書を見たときに、そのNPO法人の状況を理解してもらえるように決算書を作ろうと考えています。それは、市民にわかりやすい会計報告を目指しているからです。
また、会計報告のあり方を、複式簿記を前提とする財務諸表体系に変更したことも重要です。公益法人や社会福祉法人の会計報告制度は、先んじて損益ベースに変更されています。
NPO法人が作成すべき決算書について具体的に説明すれば、収支計算書(収支ベース)が活動計算書(損益ベース)へ変わるということです。
財務諸表体系を変更したことは、社会の信頼に応える会計報告を志向することの表れです。
NPO法人会計基準はなぜ作られたのか
NPO法の趣旨は「NPO法人自らが十分な情報開示をすることで、市民がNPO法人を応援する」ことにあります。
しかしながら、NPO法人は所轄庁の例示した書式で最小限の報告しかして来なかったため、法の趣旨は十分に達成されていません。特に、会計報告に関しては、NPO法人の活動に適した会計基準が存在せず、各法人がそれぞれの会計書類を作成し所轄庁へ提出することで、公表に代えて来ました。
この結果、NPO法人の公表した会計書類は形式や内容がまちまちで、他のNPO法人と比較することもできず、会計書類間の数字の整合性さえ危ういものが多く存在しました。このような状況では、NPO法人の活動実態を会計書類を通じて知ることはできません。
NPO法人は、市民による公益的な活動を進める組織です。市民からの資金やボランティアに支えられて活動しています。市民に活動実態を知ってもらうには、NPO法人自らが積極的な情報開示を進める必要があります。市民からの共感を得て、大きな信頼を寄せてもらうために、NPO法人の統一した会計報告のルール、すなわちNPO法人会計基準を作る必要があったのです。
NPO法人会計基準はだれが作ったのか
NPO法人の統一した会計報告のルールを作る必要性を感じた全国のNPO法人支援センターが集まって、2009年3月にNPO法人会計基準協議会を結成し、NPO法人会計基準が策定されました。
会計基準の策定に当たっては、専門家や利害関係者によるNPO法人会計基準策定委員会を立ち上げ、専門性、公平性の観点から会計基準の原案を作成しました。それに対してNPO法人会計基準協議会のメンバーが意見を述べるとともに、全国の公表のNPO法人や支援者の意見をパブリックによって反映させる形でNPO法人会計基準は出来上がりました。
会計基準の策定作業に協力した多くの専門家、内閣府及び都道府県の担当者もオブザーバーとして、基準策定に参加しています。
2010年7月に、NPO法人会計基準協議会とNPO法人会計基準策定委員会は合同会議を開いて、NPO法人会計基準策定委員会から提案されたNPO法人会計基準を承認し、確定、公表しました。
NPO法人会計基準はいつから採用されるのか
NPO法人会計基準は、日本中のNPO法人関係者が集まり、広く意見を聞いてオープンに作られています。ということは、NPO法人会計基準は法律ではないので、採用が強制されるわけではありません。
ならば、NPO法人会計基準会計基準を採用しなくてもいいのか?いいえ、違います。
多くのNPO法人がNPO法人会計基準を採用することによって、はじめて自分たちの活動実態を適正に公表することができます。アカウンタビリティ(説明責任)を果たすための手段として、NPO法人会計基準を採用することが非常に重要なのです。
NPO法人会計基準を採用してこそ、市民の信頼と支援が得られるNPO法人になることができるのです。ですから、NPO法人会計基準をいつから採用するかは、各法人で決めることになります。「独立自尊」の精神ですね。慶応義塾大学で学んだNPO法人関係者の皆さまには、心に響く言葉ではないでしょうか。
NPO法人会計基準の特徴
NPO会計基準の特徴を端的に表せば、次のとおりです。
この詳しい説明は別の機会に。
- 収支計算書から活動計算書へ
- 事業費及び管理費の形態別分類
- 注記の充実
- 受取寄付金等の会計処理
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