社会福祉充実計画を作成するに際してためになるQ&A
社会福祉充実計画の作成に関して、お悩みのことと思います。
厚生労働省社会・援護局福祉基盤課がら事務連絡が発出されているのをご存じですか?
こちらをご覧ください。「社会福祉充実計画の承認等に関するQ&A」
この中から、参考になる項目をご紹介します。
積立資産と控除対象財産
問8 人件費積立資産や施設整備積立資産については、なぜ控除対象財産とならないのか。
社会福祉充実残額の算定ルールは、全法人にとって公平なものであることが必要です。したがって、法人の任意でその多寡を決定できる積立資産については、会計上これが計上されていることのみをもって控除対象財産とすることはできないのです。
建物附属設備がある場合の社会福祉充実残額算定シートへの記載
問29 減価償却累計額の算定にあたって、建物のうち、建物附属設備については、どのように取り扱うべきか。
社会福祉法人会計基準においては、貸借対照表上、建物附属設備は「建物」として計上されます。減価償却累計額の算定にあたっても、建物ごとに、当該建物附属設備を含めて金額を計上することとなります。
なお、建物取得年度の記載にあたっては、建物と建物附属設備の取得年度が異なる場合であっても、建物附属設備の取得・更新時期にかかかかわらず、建物の取得年度とします。
≪実際の取得状況≫
財産の名称 | 取得年度 | 減価償却累計額 |
建物A | 1980年 | 200百万円 |
建物附属設備A | 2000年 | 40百万円 |
≪社会福祉充実残額算定シートにおける記載イメージ≫
財産の名称 | 取得年度 | 減価償却累計額 |
建物A | 1980年 | 240百万円 |
大規模修繕費の範囲
問36 大規模修繕費の実績額の記載に当たって、どのような費用を大規模修繕費として捉えればよいか。
大規模修繕費は、施設・設備の経年劣化に伴う施設の広範囲にわたる補修や、設備の更新・新設等の工事に係る費用を指すものであり、施設の一部を補修するものや応急的・一時的な対応、点検等のメンテナンスに係る費用は含みません。
具体的には、例えば以下のようなものが大規模修繕のための工事に該当します。
外壁 | 全面的なタイルの補修 全面的な外壁塗装更新 等 |
屋根・防水 | バルコニーの防水・シート更新 屋根面の塗装更新 等 |
内装 | 居室・トイレ・浴室等のリニューアル 事務室のOAフロア化 |
電気 | 照明器具のLED化 施設内通信設備の導入 等 |
空調 | 空調熱源の更新 空調配管の更新 等 |
給排水 | 給湯器の更新 給水・給湯ポンプの更新 排水管のライニング更新 |
エレベーター | エレベーター巻上機・制御盤・かごの更新 等 |
その他 | 厨房設備の更新 インターホン・ICカード等セキュリティ対策工事 エントランスへのスロープの設置 |
既存事業の赤字による社会福祉充実残額の費消
問46 社会福祉充実計画において、社会福祉充実残額を将来において見込まれる既存事業の赤字により費消するといった内容を記載することは可能か。
社会福祉法第55条の2第1項において、社会福祉充実計画は「既存事業の充実又は既存事業以外の新規事業の実施に関する計画」と定義されています。
社会福祉充実計画の内容は、法人が社会福祉充実残額を活用し、一定の対象者に対して受益的なサービスや給付等の実施又は充実を図るための支出を行う事業の実施に関する計画であることが求められます。
「既存事業の赤字」というだけでは「既存事業の充実」には当たらないので、計画の内容としては認められません。
公益法人における「収支相償」の概念と混同しないようにご注意ください。
「既存事業の充実」と定員の増加との関連性
問53 社会福祉充実計画において、施設の建替・設備整備を行う場合、「既存事業の充実」に資するものとするため、必ず定員の増加を伴うものでなければ伴うものでなければならないいと解すべきか。
定員の増加を伴わずとも、「既存事業の充実」を図ることは可能です。
例えば、次のようなケースが考えられます。
☆ 居室の個室化、面積の拡充、共有スペースの充実等による利用者の生活環境の向上
☆ 先進福祉機器の導入による利用者ケアの充実
☆ ICT設備等の導入による職員の業務効率化