保証債務を履行するために資産を売却した場合の課税の特例とは

06/13/2020

特例の内容、要件は何か?

保証債務の履行とは、本来の債務者が債務を弁済しないときに保証人などが肩代りをして、その債務を弁済することをいいます。
保証債務を履行するために土地建物などを売った場合には、所得がなかったものとする特例があります(所得税法64)。

所得がなかったものとする部分の金額は次の3つのうち一番低い金額です。
① 肩代りをした債務のうち、回収できなくなった金額
② 保証債務を履行した人のその年の総所得金額等の合計額
③ 売った土地建物などの譲渡益の額

この特例を受けるには、次の3つの要件すべてに当てはまることが必要です。
① 本来の債務者が既に債務を弁済できない状態であるときに、債務の保証をしたものでないこと
② 保証債務を履行するために土地建物などを売っていること
③ 履行をした債務の全額又は一部の金額が、本来の債務者から回収できなくなったこと
この「回収できなくなったこと」とは、本来の債務者が資力を失っているなど、債務の弁済能力がないため、将来的にも回収できない場合をいいます。

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土地等譲渡所得 (1)

土地の譲渡の日及び取得の日の状況は、次のとおりであった。
≪譲渡の日≫契約:令和2年、引渡し:令和3年
≪取得の日≫契約:平成27年、引渡し:平成28年

令和3年分(引渡しベース)として譲渡所得を申告するのであれば、取得の日も引渡しを受けた平成28年とすべきか?
分離短期譲渡所得としての計算をすることになるが。

譲渡の日を引渡しのあった令和3年としても、取得の日を契約のあった平成27年とし、分離長期譲渡所得として申告することは可能です(所得税基本通達33-9で準用する36-12)。

なお、土地等又は建物等を譲渡した場合における分離長期譲渡所得及び分離短期譲渡所得の区分は、当該譲渡をした年の1月1日において所有期間が5年を超えるか否かにより判定します(租税特別措置法31①、32①)。

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Posted by matsui