相続税を延納するために知っておきたいこと

01/15/2018会計 税務

相続税の申告と納税は、相続又は遺贈により取得した財産及び相続時精算課税の適用を受けて贈与により取得した財産の額の合計額が遺産に係る基礎控除額を超える場合に必要です。
ただし、遺産に係る基礎控除額の範囲内であれば申告も納税も必要ありません。

相続税を金銭で納付することがを困難な場合には、納税者の申請によりその納付を困難とする金額を限度として、担保を提供することにより年賦で納付することができます。

相続税の申告書の提出

相続税の申告書は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に提出することになっています。(注1),(注2
例えば、2月14日に死亡した場合にはその年の12月14日が申告期限になります。
なお、この期限が土曜日、日曜日、祝日に当たるときは、これらの日の翌日が期限となります。申告期限までに申告をしなかった場合又は実際に取得した財産の額よりも少ない額で申告した場合には、本来の税金のほかに加算税や延滞税がかかる場合があります。
また、相続税の申告書の提出先は、被相続人の死亡の時における住所が日本国内における場合には、被相続人の住所地を所轄する税務署です。財産を取得した人の住所地を管轄する税務署ではありません。

注1相続税の申告のために必要な準備(相続税法第11条の2、第13条、第22条~第26条、第27条、第33条、第38条、第39条、第41条、第42条、第55条、附則第3条、相続税基本通達27-3)

 

相続税の申告のためには、相続人の確認、遺言の有無、遺産と債務の確認、遺産の評価、遺産の分割などの手続が必要です。

  • 相続人の確認
  • 言書の有無の確認
    被相続人と相続人の本籍地から戸籍謄本を取り寄せて相続人を確認します。
    遺言書があれば遺言書を開封する前に家庭裁判所で検認を受けます。
    ただし、公正証書による遺言は検認を受ける必要はありません。
  • 遺産と債務の確認
    遺産と債務を調べてその目録や一覧表を作成しておきます。
    また、葬式費用も遺産額から差し引きますので、領収書などで確認・保存しておく必要があります。
  • 遺産の評価
    相続税が課される財産の評価については、相続税法と財産評価基本通達により定められており、国税庁のホームページで公表されています。
  • 遺産の分割
    遺言書による遺産の分割を行わない場合には、相続人全員で遺産の分割について協議し、分割協議が成立した場合には、遺産分割協議書を作成します。
    なお、相続人の中に未成年者がいる場合には、その未成年者について家庭裁判所で特別代理人の選任を受ければならない場合があります。この場合、特別代理人が、その未成年者に代わって遺産の分割協議を行います。
    また、期限までに分割できなかったときは民法に規定する相続分で相続財産を取得したものとして相続税の申告をすることになります。

注2相続財産が分割されていない場合の相続税の申告(相続税法第19条の2、第27条、第31条~第33条、55条、租税特別措置法第69条の4)

 

相続税の申告は、相続財産が分割されていない場合であっても、10か月という期限内にしなければなりません。分割されていないことを理由に、申告期限を延ばすことはできません。
そのため、相続財産の分割協議が成立していないときは、各相続人などが民法に規定する相続分又は包括遺贈の割合にしたがって財産を取得したものとして相続税の計算をし、申告と納税をすることになります。
その際、相続税の特例である小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例や配偶者の税額の軽減の特例などが適用できない申告となります。

相続税の納税

相続税の納税は、上記の申告期限までに行うことになっています。申告期限までに申告しても、税金を期限までに納めなかったときは利息にあたる延滞税がかかる場合があります。
なお、相続税について延納又は物納を希望する場合には、申告書の提出期限までに税務署に申告書などを提出して許可を受ける必要があります。

相続税の延納

相続税の納税は、申告期限までに行うことになっています。なお、相続税について延納又は物納を希望する場合には、申告書の提出期限までに税務署に申告書などを提出して許可を受ける必要があります。
(相続税法第第38条、第39条、第48条の2、第52条、相続税法施行令第12条~第15条、国税通則法第50条、租税特別措置法第70条の10、第70条の11、第93条、租税特別措置法施行令第40条の11)

延納制度の概要

国税は金銭で一時に納付することが原則ですが、相続税額が10万円を超え、金銭で納付することを困難とする事由がある場合には、納税者の申請により、その納付を困難とする金額を限度として、担保を提供することにより年賦で納付することができます。ただし、延納期間中は利子税の納付が必要になります。

延納の要件

次に掲げるすべての要件を満たす場合には、延納の許可を受けることができます。

  1. 相続税額が10万円を超えること。
  2. 金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額の範囲であること。
  3. 延納金額及び利子税の額に相当する担保を提供すること。ただし、延納税額が50万円未満で、かつ、延納期間が3年以下である場合には担保を提供する必要はありません。
  4. 延納しようとする相続税の納期限又は納付すべき日(延納申請期限)までに、延納申請書に担保提供関係書類を添付して税務署長に提出します。

担保の種類

延納の担保として提供できる財産の種類は、次に掲げるものに限られます。

  1. 国債及び地方債
  2. 社債、その他の有価証券で税務署長が確実であると認めるもの
  3. 土地
  4. 建物、立木、登記された船舶などで保険に附したもの
  5. 鉄道財団、工場財団などの財団
  6. 税務署長が確実であると認める保証人の保証

担保提供関係書類の提出期限

担保提供関係書類の提出期限は、納期限又は納付すべき日(延納申請期限)までに延納申請書に担保提供関係書類を添付して提出する必要があります。
注3)、(注4

注3延納申請期限までに担保提供関係書類と提出することができない場合には、「担保提供関係書類提出期限延長届出書」を提出することにより、1回に月3か月を限度として、最長6か月まで担保提供関係書類の提出期限を延長することができます。

注4延納申請書が提出された場合、税務署長は、その延納申請に係る要件の調査結果に基づいて、延納申請期限から3か月以内に許可又は却下を行います。なお、延納担保等の状況によっては、許可又は却下までの期間を最長で6か月まで延長することができます。

延納期間及び延納利子税

延納のできる期間と延納税額に係る利子税の割合については、その者の相続税額の計算の基礎となった財産の価額の合計額のうちに占める不動産等の価額の割合によって、定められています。
なお、利子税の割合は分納期間の開始の日の属する2か月前の月の末日を経過する時の日本銀行が定める基準割引率に4%を加算した割合が年7.3%に満たない場合は、特例割合が適用されます。

特定物納制度(延納から物納への変更)

延納の許可を受けた相続税額について、その後に延納条件を履行することが困難となった場合には、申告期限から10年以内に限り、分納期限が未到来の税額部分について、延納から物納への変更を行うことができます。
特定物納申請をした場合には、物納財産を納付するまでの期間に応じ、当初の延納条件による利子税を納付することとなります。
なお、特定物納に係る財産の収納価額は、特定物納申請書を提出した時の価額となります。

不動産等に係る相続税の延納等の特例(租税特別措置法第70条の10)

不動産等に係る相続税の延納等の特例とは、税務署長は、相続税の延納を許可する場合において、課税相続財産の価額のうちに不動産等の価額の占める割合が4分の3以上である場合には、不動産等部分の税額に係る延納期間については、申請により20年以内(延納税額が200万円未満である時は、延納税額を10万円で除して得た数)とすることができる特例です。
なお、不動産等の価額の占める割合が4分の3以上である場合には、延納税額のうち不動産等部分の税額についての延納等に係る利子税は「年5.4%」(相続税法第52条第1項第1号イ)ではなく「年3.6%」となります。

相続税の延納に伴う利子税の特例(租税特別措置法第70条の11)

相続税の延納に伴う利子税の特例は、相続税額について延納の許可を受けた者に係る延納の許可を受けた相続税額についての延納等に係る利子税は、相続税法第52条第1項第1号中に規定する「年6.6%」とあるのは「年6%」と、同号イ中に「年6%」とあるのは「年5.4%」と、同号ロ中に「年5.4%」とあるのは「年4.8%」となる特例です。