個人所得税に関する平成31年度税制改正大綱の注目ポイント

04/10/2019会計 税務

平成31年度税制改正大綱は、同年10月からの消費税率引き上げ向けた対応が存分に盛り込まれています。
キーワードは、「自動車と住宅に対する税制上の支援策」、「生産性革命と人づくり革命」、「地方法人課税における税源の偏在を是正する新たな措置」。

今回は、個人所得税に関する注目ポイントをフォーカスします。

空き家の3,000 万円控除の拡充及び延長

車と家の写真
空き家に係る譲渡所得の3,000 万円特別控除の特例について、老人ホーム等に入所をしたことにより被相続人の居住の用に供されなくなった家屋及びその家屋の敷地の用に供されていた土地等は、次に掲げる要件その他一定の要件を満たす場合に限り、相続の開始の直前においてその被相続人の居住の用に供されていたものとして本特例が適用されます。
そして、所要の整備を行った上、その適用期限が4年延長されます。

  • 被相続人が介護保険法に規定する要介護認定等を受け、かつ、相続の開始の直前まで老人ホーム等に入所をしていたこと。
  • 被相続人が老人ホーム等に入所をした時から相続の開始の直前まで、その家屋について、その者による一定の使用がなされ、かつ、事業の用、貸付けの用又はその者以外の者の居住の用に供されていたことがないこと。

上記の改正は、平成31 年4月1日以後に行う被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等の譲渡について適用されます。

NISA制度の見直し

現行制度では、NISA口座(非課税口座)保有者が海外転勤等により一時的に出国する場合、既にNISA口座で保有している商品は課税口座に払い出されることになり、NISA口座に戻すことはできませんでした。
しかし、今回の見直しによって、海外転勤等により一時的に出国する場合であっても5年以内に帰国すれば、引き続きNISA口座で商品を保有することが可能になります。

また、居住者等がNISA口座を開設することができる年齢要件をその年1月1日において18 歳以上(現行:20 歳以上)に引き下げられます。

税制適格ストックオプション税制の適用範囲拡大

適用対象者の範囲に、中小企業等経営強化法に規定する認定新規中小企業者等(仮称)が同法の認定を受けた同法に規定する新事業分野開拓計画(仮称)に従って活用する取締役及び使用人等以外の者が加えられます。この者は、特定事業者と呼ばれます。
中小企業の災害対応力を高めるとともに、円滑な事業承継を促進するため、中小企業等経営強化法が改正されることへの対応です。

ストックオプションとは、会社が従業員や取締役に対して、会社の株式を予め定めた価額(権利行使価額)で将来取得する権利を付与するインセンティブ制度です。
権利行使をしたときに給与課税されるのが原則ですが、課税時期を猶予され、株式を売却したときに売却価額と権利行使価額との差額(譲渡所得)について課税されるタイプもあります。このタイプを税制適格ストックオプションといいます。
税制適格ストックオプションに該当するためには、付与対象者、権利行使期間、権利行使価額、権利行使価額の制限に関する要件をすべて満たす必要があります。

ふるさと納税に係る返礼品等の見直し

個人住民税における都道府県又は市区町村(以下「都道府県等」という。)に対する寄附金に係る寄附金税額控除について、次の見直しがを行われます。
過度な返礼品を送付し、制度の趣旨を歪めている都道府県等について、ふるさと納税の対象外にすることができるようにするための措置です。

  • 総務大臣は、次の基準に適合する都道府県等をふるさと納税(特例控除)の対象として指定することとする。
    イ 寄附金の募集を適正に実施する都道府県等
    ロ イの都道府県等で返礼品を送付する場合には、次のいずれも満たす都道府県等
     ○返礼品の返礼割合を3割以下とすること
     ○返礼品を地場産品とすること
  • 前項の基準は総務大臣が定めることとする。
  • 指定は、都道府県等の申出により行うこととする。
  • 総務大臣は、指定をした都道府県等が基準に適合しなくなったと認める場合等には、指定を取り消すことができることとする。
  • 総務大臣は指定をし、又は指定を取り消したときは、直ちにその旨を告示しなければならないこととする。
  • 基準の制定や改廃、指定や指定の取消しについては、地方財政審議会の意見を聴かなければならないこととする。
  • その他所要の措置を講ずる。

上記の改正は、平成31 年(令和元年)6月1日以後に支出された寄附金について適用されます。

子どもの貧困に対応するための個人住民税の非課税措置

子どもの貧困に対応するため、所得の低いひとり親に対して次の措置が講じられます。

1.児童扶養手当の支給を受けている児童の父又は母のうち、現に婚姻をしていない者又は配偶者の生死の明らかでない者(これらの者の前年の合計所得金額が135 万円を超える場合を除く。)を個人住民税の非課税措置の対象に加えます。

1.上記の「児童」は、父又は母と生計を一にする子で前年の総所得金額等の合計額が48 万円以下であるものとします。
2.上記の「婚姻」及び「配偶者」には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含むものとします。

2.個人住民税の申告書、給与所得者の扶養親族申告書及び給与支払報告書等について、上記1の者に該当する旨の記載をし、申告することとする等の所要の措置を講じます。

上記の改正は、平成33 年度分以後の個人住民税について適用されます。