交際費課税の3大ポイント

会計 税務

交際費課税は、時限的措置(2020年3月まで)によって緩和されています。
「課税」という意味は、交際費には損金算入できる限度があるため、その限度を超えると損金不算入=益金となって、課税所得が増えてしまうということです。
現状では緩和措置によって、中小法人(資本金の額等が1億円以下の法人)の場合は、ほとんどの額を損金として処理できていると思われます。
とはいえ、交際費の範囲及び損金算入限度額は押さえておくべき事項です。

交際費は、租税特別措置法第61条の4第3項において、次のように定義されています。

交際費とは
交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの

したがって、その範囲は広く、その支出先も多岐に亘ります。また、その否認額は売上げの繰延や経費の繰上計上と違って、翌期以降に認容(減算)されないため、その影響は大きくなります。

交際費に該当するのに他の費用として計上していないか

会議費

来客との商談、打ち合わせ等に際して、社内又は通常会議を行うのにふさわしい場所において、昼食等の程度を超えない飲食物の供与に要する費用は交際費には該当しません(租税特別措置法関係通達 61の4(1)-21)。

逆にいえば、会議費として処理していても上記に該当しなければ交際費として扱われるのです。
会議費と交際費の区別について以下のような判断基準を社内で作成しておき、税務調査の際にも調査官に示せば、処理の妥当性を主張する根拠になります。

  1. 時間帯・・・昼か夜か、会議中か会議後か
  2. 場所・・・会議を行うのにふさわしい場所か
  3. 単価・・・職位ごとの金額設定
  4. アルコールの程度・・・会議中の少量なら可

なお、5,000円基準は交際費に該当する飲食費について適用されるものです。その支出が会議費に該当するのであれば、たとえ一人当たりの単価が5,000円を超えるものであっても交際費にはならないと考えられます

売上割戻し

得意先である事業者に対し、売上高若しくは売掛金の回収高に比例して、又は売上高の一定額ごとに金銭で支出する売上割戻しは、交際費等に該当しません(租税特別措置法関係通達 61の4(1)-3)。

金銭ではなく物品を渡した場合は、どうなるでしょうか。また、売上割戻しという名目にすれば、どんな場合でも交際費とはならないのでしょうか。
交付した金銭や物品が交際費に該当するかどうかは、以下のように考えられます

交付したもの 処理科目
金銭 単純損金
物品 事業用資産 相手に取って棚卸資産
相手に取って固定資産
上記以外 少額物品(おおむね3,000円以下)
上記以外(貴金属、ゴルフクラブ等) 交際費等
商品券、旅行券、観劇券等

 

福利厚生費

社内の行事に際して支出される金額等で次のようなものは交際費等に該当しません(租税特別措置法関係通達 61の4(1)-10)。

  1. 創立記念日、国民祝日、新社屋落成式等に際し従業員等におおむね一律に社内において供与される通常の飲食に要する費用
  2. 従業員等(従業員等であった者を含む。)又はその親族等の慶弔、禍福に際し一定の基準に従って支給される金品に要する費用

全社員一律で、かつ、社会通念上一般的に行われているものに対する支出は福利厚生費として処理します
特定の成績優秀者を慰労の目的で飲食させる費用は、接待等を行ったものとみなされ交際費認定されます。

その他

そのほか、販売促進費、広告宣伝費、旅費交通費、会費、寄附金等の中には、交際費に該当するものが含まれている可能性があります。
また、交際費に該当する支払を敢えて外注費、支払手数料、広告料、情報提供料等別の科目で処理することも実務上はあります。入札における談合金、株主総会対策費、地域住民の反対運動を阻止するための地元対策費等の支払は、目立たないようにしたいと考えるからです。
税務調査においてこれらが交際費認定された場合には、科目や支払う理由を仮装しているとして重加算の対象になるでしょう。
交際費の範囲をよく確認した上で、交際費に該当するものは最初から交際費として処理しておくことが懸命です

税務上の交際費等の範囲は、具体的には以下のとおりです。

租税特別措置法関係通達 61の4(1)-15

次のような費用は、原則として交際費等の金額に含まれるものとする。ただし、措置法第61条の4第4項第2号≪中小法人における損益算入限度額≫の規定の適用を受ける費用を除く。

(1) 会社の何周年記念又は社屋新築記念における宴会費、交通費及び記念品代並びに新船建造又は土木建築等における進水式、起工式、落成式等におけるこれらの費用(これらの費用が主として61の4(1)-10≪福利厚生費と交際費等との取引≫に該当するものである場合の費用を除く。)
(注) 進水式、起工式、落成式等の式典の祭事のために通常要する費用は、交際費等に該当しない。

(2) 下請工場、特約店、代理店等となるため、又はするための運動費等の費用
(注) これらの取引関係を結ぶために相手方である事業者に対して金銭又は事業用資産を交付する場合のその費用は、交際費等に該当しない。

(3) 得意先、仕入先等社外の者の慶弔、禍福に際し支出する金品等の費用(61の4(1)-10の2から61の4(1)-11≪災害の場合の取引先に対する売掛債権の免除等、取引先に対する災害見舞金等、自社製品等の被災者に対する提供、協同組合等が支出する災害見舞金等≫まで、61の4(1)-13の(3) ≪特約店のセールスマンのために支出する慶弔金≫及び61の4(1)-18の(1) ≪下請企業の従業員等の業務遂行に関する災害見舞金≫に該当する費用を除く。)

(4) 得意先、仕入先その他事業に関係のある者(製造業者又はその卸売業者と直接関係のないその製造業者の製品又はその卸売業者の扱う商品を取り扱う販売業者を含む。)等を旅行、観劇等に招待する費用(卸売業者が製造業者又は他の卸売業者から受け入れる(5)の負担額に相当する金額を除く。)

(5) 製造業者又は卸売業者がその製品又は商品の卸売業者に対し、当該卸売業者が小売業者等を旅行、観劇等に招待する費用の全部又は一部を負担した場合のその負担額

(6) いわゆる総会対策等のために支出する費用で総会屋等に対して会費、賛助金、寄附金、広告料、購読料等の名目で支出する金品に係るもの

(7) 建設業者等が高層ビル、マンション等の建設に当たり、周辺の住民の同意を得るために、当該住民又はその関係者を旅行、観劇等に招待し、又はこれらの者に酒食を提供した場合におけるこれらの行為のために要した費用
(注) 周辺の住民が受ける日照妨害、風害、電波障害等による損害を補償するために当該住民に交付する金品は、交際費等に該当しない。

(8) スーパーマーケット業、百貨店業等を営む法人が既存の商店街等に進出するに当たり、周辺の商店等の同意を得るために支出する運動費等(営業補償等の名目で支出するものを含む。)の費用
(注) その進出に関連して支出するものであっても、主として地方公共団体等に対する寄附金の性質を有するもの及び令第14条第1項第6号イ≪自己が便益を受ける公共的施設又は共同的施設の設置又は改良のために支出する費用≫に掲げる費用の性質を有するものは、交際費等に該当しない。

(9) 得意先、仕入先等の従業員等に対して取引の謝礼等として支出する金品の費用(61の4(1)-14≪
特約店等の従業員等を対象として支出する報奨金品
≫に該当する費用を除く。)

(10) 建設業者等が工事の入札等に際して支出するいわゆる談合金その他これに類する費用

(11) (1)から(10)までに掲げるもののほか、得意先、仕入先等社外の者に対する接待、供応に要した費用で61の4(1)-1の(1)から(5)までに該当しない全ての費用

5,000円基準の適用に誤りはないか

いわゆる5,000円基準は、原則として、得意先を接待するための飲食費について適用されます。
したがって、飲食費に該当しない物品の贈答費用、旅行・観劇、ゴルフ等の接待費用については、たとえ一人当たりの費用が5,000円以下であっても交際費の範囲から除くことはできません
これは、中元や歳暮に係る費用についても同様です。
また、5,000円基準を満たすために、参加人数を水増ししたり、領収書を分割することは認められませんので、注意してください。

交際費の中に個人的費用等が含まれていないか

結婚披露宴の費用

社長の息子である専務の結婚披露宴を得意先を多数招いて、盛大に開いたとします。
得意先を招待しているとはいえ、結婚式や披露宴は、社会通念上、私的な行事ですからその費用は個人が負担すべきものです。
会社が負担するならば、交際費ではなく専務に対する給与(役員賞与)として処理することになります。

渡し切り交際費

役員等に対し、接待等のために使用するという名目で毎月定額を支給し、その使途については報告を求めないという交際費があります。いわゆる渡し切り交際費です。
税法上は、渡し切り交際費はその支給された者に対する給与になります。

接待等に使用するために役員等に対して支給された費用が役員等の給与とされず、法人の支出した交際費であるとして処理するためには、次の点に注意する必要があります。

  1. 必ず領収書等によりその費途を明確にしておく
  2. 渡し切りにせず、必ず精算する